おはようございます。遅れましたが、スウェーデンスタディツアー2日目の報告をします。
昨日は朝の8時にホテルを出発し、kalorinsca Instituteへ。
(公式ページはこちら)
まずはカロリンスカのスタッフの皆さんや、患者会代表の皆さんとの交流。
ここでお互いにプレゼンをしました。
◆Roger Henrikssonさん(Head of Oncology Stockholm)から、
スウェーデンのがんを取り巻く現状や、カロリンスカのお話をして頂きました。
スウェーデンは、女性では乳がんが一番多く、男性では前立腺がんが
一番多いとのこと。どこも乳がんの患者さんは多いのですね。
ただ乳がんの患者さんは10人のうち9人は生存されるとのこと。
また症例は多くはないけれど、肺がんの死亡率が上がっているという話も。
女性の喫煙率が上がっているそうです。
臨床と研究の結びつきがとても高いということが、日本と違うなあという感想。
日本は臨床の先生、研究の先生と別々ですよね。
ここから博士論文が今まで138も発表されているとか。
病院は4つの病棟があり72床。
外来に来られる方は年間25万人。そのうち放射線をされる方が8万人。
化学療法が2万人。
放射線は定位放射線照射、陽子線治療等も行われています。
臨床研究が積極的に進められていて、今年の1月には患者さんの安全を守るための
新しい法律が制定されたそうです。きちんとした安全管理や調査も法律で決められています。
そのためにも医師同士、看護師同士、医師と看護師同士のコミュニケーションを大切に
しているとのことで、チーム医療という言葉も出ました。
また印象的だったのが「誰であれ、どこに住んでいても、公平に同様の治療が
受けられる」という言葉。スウェーデンは医療費がほぼ無料で、国が負担しています。
そういった意味では経済的な負担は、日本とは全く違う環境です。
6箇所の医療地域が互いにコラボレーションして「施設のためではなく、患者のために」を
モットーにネットワークが出来上がっているそう。ここに患者会も直接関わっているのが
特徴的です。
◆患者会のお2人から
●肺がんの患者会
まずは肺がんの患者会のリーダーさんからのお話。
彼は7年のサバイバーで、リーダーはしているけれども患者会に入るまでに3年
迷ったそうです。厳しい闘病生活を送っている患者さんが多い中、半年に1回の検診に
病院に行くとスタッフの皆さんが元気でいることを心から喜んでくれることが、励みになっているそう。
スウェーデンには、小さい患者会もたくさんあるけれど、1疾患につき1団体、大きな
とりまとめをする患者会があり、ネットワークを組んでいます。
確か15疾患とおっしゃったような気がします。
やはり生存率も高く人数も多い、乳がん患者会は力があるそう。
これは日本と一緒ですね。
ただ印象的だったのが、「40年前は乳がんも生存率は肺がんと変わらなかったはずだ。
だから肺がんも必ずよくなる日が来る」という言葉でした。
今、若い患者さんたちの会と、メラノーマの会がそのネットワークに入る予定だそうです。
それからこれだけ医療福祉が進んでいても、「患者の権利を書いた法律」がないそう。
その制定を目指しているそうです。
医療基本法のようなもので、がんだけに限らずとおっしゃっていました。
また患者会には著名な医師が顧問でついていること、がんと関係のない女性団体等の
大きな団体と連携をはかっていること、facebookを使って始まったこと、などの報告も。
患者会の活動内容は、
・毎年「世界がんの日」に大劇場でお祝いの会
・政治家と意見交換会
・芸術家がアートの展覧会をして販売した売り上げは寄付
・全国的な討論会
・夏は政治家が集まり皮膚がんの啓発
等があるそうです。
頂いたピンバッヂ。
●前立腺がん患者会
スウェーデンでは年間1万人が前立腺がんになり、2000人が亡くなるそうです。
現在患者会には7000人のメンバーがいて、刊行誌を定期的に発行されています。
全国に25の支部があるそうで、患者と家族をサポートするグループです。
おもしろいのが家族を呼んでワインセラーで交流会もされるそう。
また24時間体制の電話相談を、交代で担当し開設しています。
これは会員さんのためのホットラインだそうです。相談内容は、告知後の過ごし方で
あったり、心の面であったり、この辺は日本と同じようです。
◆日本の患者会からプレゼン発表
今回はこんな4人がスタディツアーに参加しています。顔見知りばかりで
なかなか楽しいツアーとなっています。(ストックホルム空港に着いたときの写真)
まずは私から「日本の学校におけるがん教育について」お話させて頂きました。
いや、もちろん日本語です(笑)通訳さんが素敵に訳してくださいました。
文部科学省と厚生労働省管轄の範囲でされている学校教育は、
がんの教育はほとんどされていない現状であること、鹿児島での取り組みの一例について。
今後の展望についてをお話しました。ちょっと緊張しました汗。
その後、HOPEプロジェクトの桜井なおみさんから、就労の話等を含んだ
患者サポートの話、311の時に励ましてくれた皆さんへのお礼と、災害が起きたあとの
病院の様子や対応、これからも頑張っていく!という話。
英語でプレゼンはやっぱりかっこいいですね!
そして、JAMT(日本癌医療翻訳アソシエイツ)の田所多佳子さんから、
ご自身の体験を元に、癌の情報を集めるときに苦労したことや、どうやって
米国の癌の最新情報を日本語にして情報発信しているかの話がありました。
支えあう会「α」の野田真由美さんからは、千葉がんセンターで相談員として働いて
いらっしゃる立場から、会の紹介や、患者会運営の現状、日本の相談支援体制について
のお話がありました。
4人が4人とも、話す内容が全く別だったのでおもしろかったです。
肺がんの患者会リーダーさんから「どれも興味深いプレゼンでおもしろかった」と
言って頂きました。
◆放射線センター見学
待ち時間がほとんどないという放射線施設です。
予約制ではなく、自分の好きな時間に来て良いそうです。
天井には患者さんをリラックスさせるための、星空をイメージした照明。
点いたり消えたりして、とっても可愛い天井です。
センターの入り口のすぐ横には、情報提供をするお部屋が。
医療スタッフの紹介写真。おしゃれです!皆さん自然な笑顔で
とっても絵になります。これ、ぜひ日本でもやってもらいたいです。
患者さんの休憩スペースにはジグゾーパズル。
◆リハビリテーションセンター見学
●メイクで元気になろう!
専門の教育を受けた美人スタッフの皆さんが、患者さんに
メイクやスカーフの巻き方を教えてくれる専門のお部屋がありました。
患者さんだけではなく、ご家族も使えるプール。
とっても明るい!
みんなで学びました。
◆ESMO受付へ
いざESMO会場へ。たくさんの人人人。いろんな国の方がいらっしゃいます。
玄関すぐにはツイッターの画面。
とっても分厚い抄録を頂いて帰ってきました。
明日から、私は「Patient Seminar」に参加します。
とっても興味深いセッションがあるので、楽しみです。
また報告いたします。
学会会場で食べたランチ。タンドリーチキンパスタのマンゴーソース和え。
結構こってりなものが多いですが、私は結構好きな味付けばかりで
楽しませていただいています。ちょっと高いですけどねえ!